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Ambassadors’ Views(FECニュース2019年4月号)

08.04.2019 г.

駐日ベラルーシ共和国大使 ルスラン・イエシン氏
<略歴> 1969年生まれ。ベラルーシ国立経済大学卒(政治学博士)。96年外務省入省後、2000年在ハンガリー・ベラルーシ大使館参事官、04年外務省情報局副局長、06在グダニスク(ポーランド)総領事、13年ユーラシア統合局独立国家共同体部長、16年対外経済活動局副局長を経て、17年から駐日大使。

経済交流拡大と地域間交流を促進

■東欧内陸部に位置するベラルーシ共和国の特徴は何ですか。
ベラルーシ共和国は古い歴史と豊かな文化的伝統、将来への希望がある若い国です。ベラルーシ人は13-18世紀にリトアニア大公国を築きました。1588年に欧州で最初の憲法が採用されましたが、当時最も進歩的な法律集でした。ベラルーシは欧州の地理的中心に位置し、多くの陸空海路の交差地点となり今日まで貿易が発展しました。国立公園「ベロヴェジの森」と数多くの青い湖が欧州の生態系の重要な部分を占めており、多くの観光客を集めています。近年は数千人の日本人がこれらの自然遺産や名所を見物しています。ベラルーシは、環境を保護し、勤勉で交渉上手の国民性から「欧州の日本」と呼ばれます。
■1991年の独立後はどのような国づくりを目指していますか。
「人々のための国家を築く」がルカシェンコ大統領のモットーです。ベラルーシには、すべての市民が明日への確信を持って自らの可能性を実現するあらゆる機会があります。我が国は、何世紀にも渡る歴史、近隣諸国との密接な関係、最近10年間の最高の成果に支えられながら、独立した発展の道を歩み始め、多角的外交政策、文化、教育、科学、スポーツの発展、経済の近代化を推進しています。経済は市場経済化を指向していますが、国営企業も残っています。ソ連時代から発展した、軽工業、繊維工業、木工業、農業などが伝統的産業です。製造業では農機具、トラック、家電製品、ハイテク製品、バイオ製品、化粧品、宇宙機器などの産業が発展しています。民間企業が急成長しており、我が国の貿易の重要な部分はそれらを通して行われています。
■最近の経済状況と成長している産業分野を教えて下さい。
2018年は約3%の経済成長率を達成しました。工業生産は、機械設備、木工品、化学品、医薬品を中心に7.5%増加しました。ベラルーシのハイテクパークで活動するIT専門家は世界中で知られています。税制優遇策によりハイテクパークの生産の伸びは全国平均を大きく上回り、18年の輸出成長率は38%でした。世界銀行の「Doing business 2018」調査でベラルーシはビジネスの容易さで190カ国中38位になりました。多くの日本企業は積極的にベラルーシに駐在員事務所や企業を設立しています。好条件でビジネスができる、EEU(ユーラシア経済連合)の自由経済区のひとつであるモギリョフ地域の工業団地”Great stone”と日本・ベラルーシ・スマート工業団地は、外国人投資家から大きな関心を集めています。
■日本とベラルーシ関係の発展をどう見ていますか。駐日大使として2国間関係を強化したい分野を教えてください。
19年1月、ベラルーシと日本は外交関係27周年を迎えましたが、友情と協力の長い歴史を持っています。注目すべき例は、ミンスク県のレチツァ市出身のイオシフ・ゴシケーヴィチ氏(元ロシア外交官でロシア初の日本領事)が長年、北海道民のスラヴ文化や言語の研究を支援していたことです。文化、教育、スポーツ、科学分野の積極的交流や災害時の相互支援体制に支えられ、近年は議会間、省庁間交流が活発です。18年5月に東京と大阪で開催された第1回ベラルーシ・日本経済フォーラムは、2国間の貿易、投資の相互促進に弾みをつけました。18年11月の両国の貿易は6%増加しました。カリ肥料、ガラス繊維製品、乳製品、木製品、麻製品、線量計などが日本市場でよく知られています。18年10月のロシアNIS貿易会(ROTOBO)のビジネス・ミッションにより、二国間経済協力の方向性が決定されました。政治分野の重要な課題は両国首脳会談の実現です。私のミッションは、経済分野の協力拡大と、モギリョフ州と大阪府などの地域間交流の促進です。また、ベラルーシの芸術・文化の紹介や、大統領が主導する国立こどもセンター「ズブリョノク」への日本の子供たちの保養体験も重要です。さらに、20年東京五輪の事前キャンプ地となる宮城県白石市、立川市との協力も進めています。
■ベラルーシはロシアとどのような関係にありますか。
ベラルーシとロシアはベラルーシ・ロシア連合国家を形成しており、独立国家共同体、ユーラシア経済連合および集団安全保障条約機構の枠組みの中で高レベルな2国間協力と国際場裡での緊密な連携を行っています。両国の主権と独立、歴史遺産、産業協力、市民間交流が基盤です。市民は両方の国で学び働き、不動産を取得し、医療サービスを受けられます。中国、ベトナム、インドなど、他の国々とも信頼関係を築いています。我々は、EUおよび米国との協力に多くの注意を払っています。また、ロシアの極東、特にサハリンにおけるプロジェクト協力が重要であり、日本向け輸出貨物をロシアの沿海港へ運ぶにはシベリア鉄道経由が有望です。
(聞き手=編集長・田丸周)
 

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